Cheat
結婚して十年。見た目は幸せな家族。
だけど何かが、満たされない。
そんな時、私はあの店を訪れる。
「お久し振り、マスター」
「おぉ、久し振りだねぇ」
「アイスティ、頂戴」
「あいよっ」
マスターが、アイスティを出しながら
「君がいた頃は、確か真由美君とかいた時だったかな?」
「違うよ。未華子だよ」
「あぁ、そうだったね。で、今何してるの?」
「専業主婦」
「そりゃ、結構。旦那の稼ぎがいいんだ」
「子育ても落ち着いたし、パートに出ようかなって」
「また、ウチでバイトする?」
「やだ、こんなオバサン、ダメでしょ」
「いやいや、ベッピンさんは歓迎するよ」
「そんなこと言ってー。あのね、保育士やろうと思うの」
「そうだった。君は資格持ってたね」
「短大の同級生が、誘ってくれて」
「持つべきものは、友達だねぇ」
とりとめのない話をして、アイスティの氷がとけた頃。
「ゴメンね、そろそろ昼の部は終わりなんだ」
「あ、そうか。夜はショットバーになるんだよね」
「食べていくのも、大変でね。6時まで閉めるから」
知っている。知っているから、ここに来る。
マスターがプレートを裏返して、closedにする。
入り口の鍵を閉めて、有線をoffにして二階へ上がって行く。
私は、その後をついていく。階段を上がりきったところで、熱いキスを交わす。
舌と舌を絡める濃厚なディープキス。
マスターが私を強く抱き締める。
舌を絡めたまま、ベッドに。
彼がチュニックをたくしあげると、普段は着けない派手なブラ。
彼の手が背中に回って、片手で器用にホックをはずす。自然に背中が浮く。
胸を揉まれ、乳首を吸われ、気持ちよくなる。
いつの間にか裸にされていく。それが当たり前だと思ってた。
途中で服を脱ぐもどかしさ。気まずさ、興ざめ。
この人は、ちがう。
彼のしなやかな指が、乳首と乳房を気持ちよくする。
かすかな後ろめたさも、消えてなくなる。
私の奥に口づけする。
舌先でクリトリスを。
熱いジュースが、溢れる。
いっかい、かるく逝った
私は我慢が出来なくなる。
「挿入て」
ささやく。
私の前に彼がかぶさる。
あの日が、なつかしい。
「綺麗だよ」
その言葉を彼は決して、忘れない。
「愛してるよ」
いまさらと思っても彼が言うと、ときめいてしまう。
少女のように。乙女のように。
時計の針が、もどっていく。
忘れていた時を、とりもどす。
二人だけの時間で、愛し合う。
その時、私は幸せを感じる。
私の身体の中に、彼の分身が出たり入ったりする。
硬くて、太くて、猛り狂う。おちんちん。
彼の背中に爪を立てる時、私は無上の喜びを感じる。
気持ちいい。
何度も何度も。
固くて大きいおちんちんが、出たり入ったりする。
何回も、何回も。
幸せな時間が続いてく。
時に優しく、時に激しく。
何度目かの絶頂に私は身をゆだねる。
先っぽが奥に当たる。
底無しの快楽に私は沈む。
いつもの私は、何なのだろう?
あの人とのセックスは。
子作りのためだけ。
愛を感じない。
あの人から、ママと呼ばれた時、私は女でなくなった。
愛する対象から外された。
何よりも、キス。キスをしてくれなくなった。
何時からだったろう?愛のないセックス。
形だけの、夜のいとなみ。
満たされない、心と身体。
あっという間に終わる。
夫婦のいとなみ。
比べてみたって、しょうがない。
だけど。
マスターだって、夜の仕事がある。
「疲れてるんだ」
その一言で終わってしまった。
だから、この人が愛おしい。
私は何度も、キスをせがむ。
それに彼は、こたえてくれる。
?愛しい人。
優しい人。
彼だって、大変なのに。
私のわがままを聞いてくれる。
私を愛で満たしてくれる。
そして、いよいよ。
至高の時がやってくる。
こんな風に上になって。
いっぱい、気持ちよくなって。
自分で動いて。
まるで淫乱のように、よがる。
うすく瞳をあけて、彼を視る。
優しく微笑んで、私を観てる。
こんなことも、彼とならできる。
大胆になれる。
積極的になれる。
硬い。
太い。
大きい。
彼のおちんちんの長さの分だけ、腰をバウンドさせる。
おちんちんの根元まで、私の身体の中に入れる。
亀頭が飛び出すギリギリまで腰を上げる。
ただ出したり入れたり繰り返してるだけなのに、それだけじゃない。
何かが違う、何が違う?
分からない、分からないけど。
ああ、もう。
そして、とうとう。
私は、アレをやる。娼婦のように、はしたない。
AV女優みたいに、いやらしい。
彼の、おちんちん。
挿入れたまま、彼の上で。
ぐるりと回る。
彼のおちんちんはかたくて大きいから。
抜けない。
私は、気持ちいい。彼も気持ちいい。
貴方の一番好きな体位に。
そう、男の人はみんな好き。
何故なんだろう?本能なんだろうか?
さぁ、やって見せて。
あぁ、素敵っ!
世界が、全部回ってる。
私も好き。女も好き。
でも、貴方にしかやれせて、ア・ゲ・ナ・イ。
幸せな時間にも必ず終わりは来る。
最後は、激しく。荒々しく責めて。
全てを忘れさせて。
何度、逝っただろう?
何度、意識が跳んだろう?
そして、キス。
今、ナニゲに捨てたコンドーム。
いつ着けたの?
服を脱がすのも、ゴムを着けるのも、マジシャンみたいに鮮やかで。
そこが、女を夢中にさせる。
だから、キレイにしてあげる。
してくれとは、言わないけれど。
何もしてくれない、わけじゃない。
「君のも」
今度は、おちんちんを咥えたまま。
お互いに、舐めあって。
綺麗にして。
やっぱり、キス。キスが一番好き。
フェラした後は嫌がるひと、多いけど。
私は、したい。女はみんなそうじゃないかしら?
セックスする前にキス。
セックスしてる間もキス。
セックスした後にもキス。
セックスしてもしなくてもキス。
「マスター、ゴメンね」
「何が?」
「だって、疲れてるんでしょ?」
「君に元気をもらったから、大丈夫。」
どこまでも、優しい人。
「今度、お友達連れて飲みに行くね。」
「おぉ!歓迎するよ!多くはないけど、カクテルもやってるから。」
「ホント?おすすめは、何?」
「アメリカン・レモネードかな?そんなに強くないし。」
この優しさが、心に痛い。
明日も、初めてのひとを忘れられない女がここに来る。
そして注文は
「アイスティ」
本作品はフィクションです。
実際の人物、職業、団体等とは一切関係ありません。
登場人物は、すべて18歳以上です。
special thanks
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