A5版の本文232ページです。第四回から第八夜まで収録してあります。pixiv等に上げたものを一部修正しておまけを追加した感じのweb再録本です。
※一部血が出ている為R-15Gとさせて頂きます。
十五歳未満の方の購入はご遠慮ください。
〈あらすじ〉
怪異の出没する町、月宮。
その町でも珍しく、霊や妖怪を視る事の出来ない少女、星井恵理は、この前転校してきた記憶喪失の魔女、アリス・ヴェスパーと友達になる事が出来た。
そんな彼女は、危ないものには近寄りたくない町民から敬遠される、オカルト研究部に所属していた。
オカルト研究部の部長、シリルはアリスの失った記憶について少しばかり知っているらしい。
――心臓は私を認めてくれた貴女に。理性と思い出は愛しい貴方に。抜け殻になって、ただの獣になった私は、あの子の手によって、冷たい土の中で静かに眠りに就きたかった。
各話のあらすじ
第四回:CHASE MOUSE GIRL………十八頁
アリスと友達になった恵理には、秘密があった。
部活の事である。陰キャ筆頭みたいな性格をしている恵理は、町の外から来た、しかも陽キャっぽいアリスに、自分の所属している部活を知られるのが怖かった。オカルト研究部である。
最近、毎日一緒に帰っているアリスを置いて、部室へとダッシュする。
そこに初めての同世代の友達が出来て浮かれまくってメンヘラみたいなくっつき方をしているアリスは、とてつもなく衝撃を受けた。
今、世紀の大追走劇が始まり、そして終わった。
第五夜:幻想少女は夢の中……二十六頁
オカルト研究部に入部したアリスは、何故か部長のシリルに一目惚れをされたらしい。
季節外れの桜が咲く校庭へ、夜桜を見に来ることになった二人。
アリスの過去について何か知っているらしいシリルに、アリスは付いて行った。
第六下:違う二つの滑落喜劇……六十頁
※R-15Gです。血が出ます。
オカルト研究部の初代部長の手記を見付けた恵理は、部活でそれについて調べようとしていた。
ノートを開くと、部室に居た全員が異界に引き摺り込まれてしまった。
皆が通う中学校に良く似た異界で離れ離れになった四人は、元の世界に帰るために奔走する事となった。
第七躁:反転するクラッシュマインド……二十四頁
アリスの可愛い弟アルトは、手っ取り早く言うと不良で非行少年である。
そんな彼に懸想する化学研究部の少女が性格反転薬をアルト君にぶち込んだ! 好きだったのは顔だけだったらしい。
普段の暴力的な性格が鳴りを潜め、優しく、気配りも出来る王子様みたいなアルト君に、彼をよく知るメンバーは阿鼻叫喚の嵐である。
行け! 進め! あの化学研の尖兵を引っ捕らえろ!
第八夜:夢喰い宴の後でまだ……五十二頁
※R-15Gです。血が出ます。
月宮町に住む人間達が、夢の中から帰って来なくなった。
それはアリスの弟のアルトや、執事も同じで、ふっと眠りに就いた後、何をしても目覚めなくなった。
夢夜とアルト以外の部活メンバーと落ち合ったアリスは、恵理と共に、シリルの催○術(何でも出来るなこいつは……)で夢の世界を探索する事になった。
そこで出会った夢回廊の管理者を名乗る少女に、獏の様な存在を捕まえてきて欲しいと言われる。
様々な夢の扉を探す内に、目覚めぬアルトの扉をアリスは見付ける。
……きっと此処は、アリスが忘れた過去の記憶だ。
閑話:月が落ちる地にて(描き下ろし)……十頁
「月が落ちてきたら、この世界は終わってしまうね」
閑話:幽霊アパートの日常(描き下ろし)……十六頁
月宮に住む祓い屋の息子、月館契は、様々な人外に好かれる、トラブル吸引体質だった。
ある日、疫病神を引っ付けて来てしまった契は、それによって様々な損害を受けた実家から追い出されてしまった。
帰る家を(一時的にとはいえ)無くした契は、友人の家にでも泊まろうと、幼馴染の柳内時理の元へと向かった。
アパートの大家の息子である時理は、転がり込んできた契の事情を聞いて、一つの提案をする。
「一階、一番端の開かずの扉。昔死んだ女性の霊が出るらしい」
契は、曰く付きのその部屋に泊まる事になった。