妹はとても素直で、悪く言えば単純だった。
そんな妹に嘘を教えてはからかい、
本当を教えては驚愕させるのが兄としての楽しみになっていた。
そんなある日のこと。
整腸剤を服用していた兄は、その錠剤とよく似たお菓子を思い出すのである。
「戦隊モノのおもちゃについてくるお菓子、あれって見た目クスリじゃね?」
見た目がクスリであるならば、クスリとして騙すのに使える。
騙す相手は?
決まっている。
素直で単純な妹だ。いつものように、彼女をからかってやろう。しめしめ。
しかし、あっさり錠剤が偽物だとバレてしまった。
とっさの判断で、錠剤を飲み込みクスリの効き目があるのを示す作戦に出る兄。
じっと目を閉じて五感を澄ませ、本物のクスリだと信じ込んだ妹の様子を伺おうとした。
さして、やんちゃ兄のとある実験がスタートするのである。
[ストーリー]
睡眠薬で昏睡状態に至っている人を密かに演じる兄に妹は、ある行動を起こす。
それは、“猫になって兄に甘える”ということ。
妹は、自分が隠し通していた願望を、兄がなかなか目が覚めない状態(昏睡状態)なのをいいことに実行しようとしたのである。
「……“猫になって甘えたい”なんて、恥ずかしくて言えないもんね」
妹はなんとかして兄に睡眠薬を飲んでもらおうと奮闘する。飲んで、昏睡状態になってもらおうと。そして甘えようと。
飲んでくれと懇願する? 食べ物に混ぜる? 無理やり口に押し込む?
方法はたくさんある。
目的のためには手段を選ばない。例え、兄との約束を破ろうとも。
甘えたい。ただそれだけ。
その目的も、回数を重ねるたびに、
移ろい、
過激に、
甘美に。
妹の本当の目的とは?
[内容]
観察日記:1日目(10:30)
コンビニで買ってきた食玩を“睡眠薬”と称して、おバカな妹に食べさせてみた。
からかうためだけで特に意味はないが、あっさりと嘘がバレてしまっては面白味がない。
お菓子と睡眠薬が混ざったものだと言えば、簡単にはバレまい。
俺が試食して、寝たふりをして、本物だと思わせてやればいい。
ん……? 妹の様子が……。
観察日記:3日目(10:24)
家で退屈していると、妹が先日あげた食玩を持ってきて「一緒に食べよう」と言い出した。
何も考えずに食べてやっていると、妹がしきりに眠くなったかどうか確認してくる。
まるで眠って欲しそうな物言いに負けて、寝たふりを実行。
すると、妹はあろうことか服の中に潜り込んできて、口の中に乳首を……。
観察日記:8日目(11:29)
妹に食玩を手渡してから1週間が経ったが、未だに食玩を俺に食べさせようとしてくる。
そろそろ終わらせたいと思っていたので、ここである約束を妹と交わした。
“この錠剤を使うのはこれで最後”。そういう約束だ。
最後の寝たふりになるだろうと、俺は目を瞑る。
耳元をくすぐっていた妹の息遣いは、段々と正面へ回り、さらにその距離が近く……。
観察日記:15日目(10:51)
今日はとことん眠たかった。
妹と約束していたらしい映画を一緒に見ることもできそうにない。
さっさと寝てしまおうとベッドに入ると、ノックもせず、ゆっくりと扉を開ける影が。
そいつは布団の中に潜り込むと、俺の口の中に何かを入れ、
そして俺の手を自らの股に……。
観察日記:20日目(15:52)
すり鉢で固形物を粉にしている妹を発見する。
妹はその粉を水に溶かしてきゃっきゃうふふしていた。
知らん顔しながら声を掛けると、妹は素知らぬ顔をしてその水を飲めという。
気持ちよくてすぐに眠れる水だという。
胡散臭さは拭えない。
さして、寝たふりをした俺に近付いた妹は、その手をベルトに持っていく。
観察日記:22日目(13:03)
妹が事件を発見したと言う。
現場のリビングに向かうと、テーブルの上に乗った白い粉。
……怪しい。
予想通り、妹はそれを飲めと言う。
……今日は何をされるのだろうか。俺はこの先の出来事を予想しながら、粉を口に含んだ。
観察日記:25日目(13:57)
ワンピースを着た妹が笑顔を振りまいて訊いてくる。
どうやら、前に観れなかった映画を観ようとのことだ。
映画を見始めると、膝の上で規則正しい寝息を吐く妹が。
……やられてばかりでは面白くない。ここぞとばかりに妹の体を堪能させてもらう。
頬を触り、首を触り、鎖骨を。申し訳程度の胸を。マシュマロのように柔らかい乳首を。
どうせ後で俺のも触るんだろう。なら、今だけは俺が……。
観察日記:とある日の風景(04:07)
リビングのソファで昼寝をしていると、妹が泣き始めた。
以前に俺が教えたことを思い出して、不安がったらしい。
手の掛かる妹だ。適当に慰めてやろう。
観察日記:29日目(16:32)
そろそろこの状態もひと月が経とうとしている。
リビングで昼寝をしていた俺の上に、妹が乗る。
俺を呼ぶ妹。
静かに寝たふりをする俺。
完璧に寝たふりをしていた、はずだった。
妹が言う。
「……おきてる、でしょ」、と。
その声に、俺は……。
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のべ1時間42分の音声作品となっております。
今回は「SE有」「SE無」の二つをご用意させて頂いておりますので、お好みのほうをお選びください。
猫になって甘えたい。ただそれだけ。
そんな彼女が、こんなオイシイ場面に出くわしたら、甘えるだけでは済まないのは当然のこと。
まずは体験版をお聴きして、彼女が躊躇いながらも状況に酔っていくさまをお楽しみください。
CV:沢野ぽぷら様
イラスト:けだま様
シナリオ:三浦一
編集:紺狐
(9/23 おまけを追加更新しました)